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【セッション】温故知新で地元とつながり活性の起点となる会社へ

2022年9月1日に開催されたJ-Startup Hour にて、歩行領域のプロダクトを展開するスタートアップ「WHILL株式会社」の池田氏と弊社代表の西谷との対談が行われました。

こんにちは。ホンダカーズ岐阜note編集部です。
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今回、セッションに同行し、
研究者から経営者に転身した経歴を持つ弊社代表西谷の視点から語られた、自動車販売という歴史の長いビジネスモデルに新たな価値を付加する経営戦略についてご紹介します。

J-Startup Hourとは経済産業省主催のスターアップ支援プログラム「J-Startup」に選出された企業を始め、官民様々なプレーヤーが登壇す定期開催のセッションです。


|2つの対極な視点

池田氏:本日はホンダカーズ岐阜の西谷社長をお招きし、2つの対極的な視点で対談いたします。

老舗企業とスタートアップ企業という視点。さらにもう一つの対極としてクルマと新しいモビリティ。このふたつの視点でお送りします。

WHILL株式会社
日本事業本部 執行役員本部長 池田明宏氏

■WHILLについて

池田氏:WHILL株式会社は2012年に創業し「すべての人の移動をスマートにする」をミッションとして掲げ、今年で10年目となる企業です。

「歩行領域のプロダクト・サービスで、世界をつなげる」ことにチャレンジしています。

我々の製品は、革新的な層には届きやすいのですが、より多くの方にお届けするには「付随するサービス」や「会社の信頼」が課題でした。

そこで、様々なお取引様と一緒に活動することで信頼を得てきたわけですが、その代表が本日対談をさせていただく「ホンダカーズ岐阜」です。

WHILLをソリューションとして「地域貢献」にどのように活用いただいているのか?その当りもお聞きしたいと思います。

それでは、西谷社長ご登壇お願いします。


■ホンダカーズ岐阜について

池田氏:簡単に自己紹介からお願いします。

株式会社ホンダカーズ岐阜
代表取締役社長 西谷隆志


西谷:弊社は、昭和27年創業で今年70周年をむかえ、岐阜県全域でHondaの正規ディーラーとして展開しています。

私は、大阪市此花区の生まれでユニバーサル・スタジオ・ジャパンが近くにあります。ベイエリアというイメージもあると思いますが、古き良き下町という感じのところですね。

ホンダカーズ岐阜に入社する前は、大阪大学で博士号を取得後、三菱電機に就職し通信関係の研究を10年ほどしていました。

その後、縁あって2018年にホンダカーズ岐阜に入社し2020年から代表を務めてます。


■研究職から経営者へ

池田氏:「研究職から経営者」って、ものすごいスイッチだったと思うのですが、どういったキッカケがあったのですか。

西谷:そうですね。普通はないですよね(笑)
平たく言えば親族からの事業承継です。

とはいえ、博士号まで取得して研究職をずっとするつもりでいましたから、最初のお誘いはお断りましたよ。

でもその後、マネジメントや経営に関わる研修も増えてきましてね。人生の選択を考え出した時に、お誘いを受けた事が脳裏に浮かんで。。。

それで決心するところとなったという感じですね。

研究職から経営者へ


池田氏:さまざまに居住地を変えられている中で、岐阜には5年住まわれていますよね。実際住んでみてどうですか。

西谷:岐阜に永住するという選択肢しかなくなるのは覚悟がいりました。
業態が変わる事や経営者になることに不安はなかったんですけどね。

外から見ると岐阜の良さって見えにくかったですから、「岐阜に住む」っていう所は一番の不安でしたね。

でも、実際に移り住んでみたら、とても住みやすいところで驚きました。
これは5年経った今でも、変わらず持ち続けている思いですね。

今は岐阜の良いところをどれだけでも語り続けられますよ(笑)


■ホンダカーズ岐阜のミッション

池田氏:岐阜を活性化させたいという思いで様々な取り組みをされていると思いますが、会社のミッションを教えていただけますか。

西谷:弊社のミッションは「カーライフに関わる全てのモノ・サービスを提供し、お客様の理想のライフスタイルを実現する」です。

自動車ディーラーって、クルマの販売や修理する所というイメージがありますよね。

でも、クルマを軸にした商売は時代の流れによって変わってきています。
ですから、お客様が本当に良いと思えるような「ライフスタイル」をご提案することが期待されていることなんだと感じています。

また、ミッションを実現するために「生活の可能性を拡げる ココロオドルトコロ」をコーポレートスローガンとして掲げています。

これはお客様だけでなく、地域や、取引先、従業員みんながワクワクする、ココロオドルようなトコロを目指したいという思いが詰まってます。

最初はなかなか社内でも浸透しなかったんですけどね(笑)
ここ2-3年でやっと浸透してきました。

ミッションとコーポレートスローガン


|地域課題と解決策

1.車に依存する移動

池田氏:経営に携われて、どんどんアップグレードされていると思いますが、会社全体で取り組まている「クルマに依存する移動」という課題についてお話いただけますか。

西谷:岐阜県は地方都市で、自動車に依存していることがデータからもよく分かります。

岐阜県は移動を自動車に大きく依存

一人一台が当たり前で圧倒的に依存度が高い地域です。
「自動車がないと生活が出来ない」という状態ですね。
昨今、高齢者の免許返納について注目されていますが、岐阜県の免許返納率は2.0%と全国と比較して低いことも依存を表してますね。

65歳以上 免許返納者の推移

池田氏:社会的な視点でみた時に、免許返納者数が増えていること自体が問題視されたりしますよね。しかしその一方で岐阜県の免許返納率が低いことはどのように捉えられていますか。

西谷:正直なところ、返納率が上がると自動車を購入されるお客様が減りますから、返納率が低いことは自動車販売業としてはありがたいですよね。

だからといって、免許返納しなくても良いですよとはお客様には当然言いませんよ(笑)

でも、お客様やご家族の声などを聞いているうちに「返納率が低いことは本当に幸せなことなのか?」と強く思っていました。
とはいえ、我々カーディーラーとして何が出来るのだろうかとも考えていましたね。

免許返納率が低いということは幸せなことなのか?

池田氏:それでWHILL製品の取扱いをスタートして頂いたんですね。
昨年末の取扱い開始から様々なイベントでWHILLを活用いただきましたが、何か事後の変化はありましたか。

西谷:最初は、おしゃれな「車いす」というイメージがありましたね。

しかし展開していくうちに、WHILLは「自動車依存度が高い岐阜県で自由度が上がる移動手段」なんだという認知が社内外で広がりました。

店舗でも免許返納を悩まれている方へのご提案機会が増えましたね。


2.岐阜と企業の魅力発信

池田氏:WHILLを、免許返納後のあたらしい移動手段のひとつとして広げていって頂いているんですね。ありがとうございます。
では次に「岐阜と企業の魅力発信」について教えていただけますか。

西谷:どうやって当社を認知してもらうのか苦労したところはあります。

今はSNSなどオンラインの発信ツールはどんどん出てきてますから、当然活用します。。

でも、私たちはリアルでお客様とつながりを作るのが一番の強みですから、オンラインからオフラインへどのようにつなげていくかを中心に据えて進めていますね。


池田氏:なるほど、店舗や地域イベントを通じてつながりを深めていくという事ですね。
西谷社長は個人のTwitterを積極的に活用され、実際に仕事につながったとお聞きしましたが、具体的な事例があれば教えてください。

西谷:そうなんです。ダイレクトメッセージでいくつか直接ご連絡いただくことがありまして。

プロサッカークラブのFC岐阜さんからTwitter経由でダイレクトメッセージを頂き、スポンサー契約まで話が進んだんです。
これが一番の出来事ですね。

池田氏:経営者と、地元が近く感じられますね。FC岐阜とのスポンサー契約を、オフラインでどう活かすかを考えてらっしゃると思いますが、何かエピソードなどはありますか。

西谷:スポンサー契約ってお金を出すだけというイメージが強かったんですね。しかし、FC岐阜さんのTwitterを見てみると実際は違うのだと強く感じました。

スポンサー料を活用して、FC岐阜だけでなく地域全体を盛り上げる事を中心に活動されているのがすごく見えました。

私たちの「地域ともっとつながりたい」という気持ちと合致するんじゃないかと思いましたね。

ですから、私たちもFC岐阜のホームゲームにイベントブースを積極的に出展しているんです。

FC岐阜 応援ブースの様子

池田氏:様々な場所でのイベントやってみえるようですが、お客様の反応の違いはありますか。

西谷:一般的な展示会はショッピングモールなど屋内でやることが多いんですね。

展示車を置いて販売員がいて…といった雰囲気で、何か売り付けられるんじゃないか!?と思って引いてしまいますよね(笑)

「FC岐阜」だけでなく「犬祭り」という、わんこの為のイベントにも出展したのですけど、どちらもお客様に「ありがとう」と言われるんです。

FC岐阜を応援してくれてありがとう。
わんこのためのカーグッズを紹介してくれてありがとう。

といった一般の展示会では絶対にない言葉をいただけるんです。
それが一番大きな違いですね。

犬祭り出展の様子

池田氏:イベントでWHILLを活用いただいてますか。

西谷:もちろん出張イベントの時は毎回WHILLを置いていますよ。


池田氏:WHILLの反応はどうですか。

西谷:興味を持っていただける方は多いです。
試乗会をやるとお子様が一番喜びますね(笑)

最初にお子様が興味を持って、親さんにも見ていただき知っていただく事が多いですね。

WHILLは、お子様でも簡単に操作できるのがポイントでしたね。

WHILL試乗イベントの様子


3.官民連携による地域活性

池田氏:地域に根差した形で様々な活動をされていらっしゃいますが、次に課題にあげられている「官民連携による地域活性」についてお話いただけますか。

西谷:代表に就いたとき一番に頭に浮かんだのが官民連携でしたね。
色々活動してきましたが、なかなか一企業が自治体と連携するのは難しいなと、この数年で感じました。

それでも、何かできることはないかと、道の駅フリーペーパーを通じて岐阜の発信することをしています。

実は、岐阜県の「道の駅」駅数は北海道に続いて全国2位なんですよ。
でも、ここからどう次へつなげていくかが課題なんですよね。

フリーペーパー道の駅での撮影風景
岐阜の魅力を発信

西谷:WHILLさんは色々地域連携をされていると聞いてますが、何か良い例があれば教えて頂きたいです。

池田氏:そうですね。
新潟の古町でWHILLのシェアリングサービス実証実験をやりました。

人の移動が直線的になってしまっている所が地域課題だったんです。

WHILLだと自分の行きたい所に行くことが出来ます。移動が曲線的になり地域を回遊してもらえるんですね。
こういった移動を求めらている地域課題も背景にありますね。

その他に、様々な学校の特別授業としてWHILLをご紹介して頂く事もありますね。生徒さんにWHILLの活用を考えてもらって、地域イベントの中でシニアの方にWHILLを使って頂くなんてこともしてもらいましたよ。

新潟市古町でのWHILL実証実験を語る

西谷:面白いですね! たしかに、直線的でなく曲線的に動けるのはWHILLの魅力のひとつですよね。

池田氏:実は、近距離の移動を活性化させると、近距離・中距離・長距離がつながっていくんですよね。

実際にWHILLを購入された人がクルマを購入されて、そこにWHILLを載せてお出掛けされるって例を聞いた事があるんです。

ああ、これが一番良い姿だなと思いましたね。

西谷:まさしく、これが理想的な姿ですね!弊社も、WHILLさんと自治体と一緒にやっていけたらうれしいです。

池田氏:じゃあ、これをきっかけにTwitter経由でメッセージを頂けますか(笑)

西谷:そうですね(笑)官民連携のきっかけを作っていきたいので、ぜひ何かあればお声がげください!

|展望

池田氏:最後に展望ということで何かメッセージをお願いします。

今後の展望

西谷:岐阜県に限った話ではなく、どの地域にも同じような地域課題があると思います。
自動車に関するディーラーとして、交通事故削減や社会福祉は当然のこと、様々な地域課題に取り組んでいきたいですね。
それを実現するためにも、一緒にやっていけるトコロを探していきます。

そしてなによりも、岐阜の魅力の発信と課題の解決をしていきたいのが一番の思いですね。私の根っこにあるのは、本当に岐阜が好きで、岐阜に来て良かったと思っているんです。
当社から、岐阜の魅力を世界に発信できるのが野望ですね。

事業拡大と地域貢献の両輪を回して、ミッション実現に向けチャレンジし続けます!

筆者自身もWHILL製品の取扱いが開始されてから、自分の大切な人たちにすすめました。WHILLがあれば、今まで苦労していたことが少し楽になり、移動が楽しくなる!と感じたからです。
この話はいつか記事に出来ればと思います。

2022.9.1 THU 18:00-19:00
J-Startup Hour Vol.129